人生は暇つぶし

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「数が増える」とのトレードオフで失うもの

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磯焼けという現象がある。

海に生える海藻が環境悪化で生えなくなってしまう砂漠化のことだ。劣悪な環境になると、アワビやサザエ、多種多様な魚たちが住めなくなり姿を消す。その代わりに劣悪な環境でも生き残れるウニなどが縄張りを広げ、数を増やしていく。そうすると数が増えたウニがまた海藻類を食べ尽くしてしまうので、より砂漠化が進んでいく。

この磯焼けを最近になってYouTubeのスイチャンネルで知った。

https://youtube.com/c/suichannel-umi

 

この磯焼けを知って思ったのは、奈良公園に似ているということだった。

 

実は奈良公園というか、その裏にある春日山原始林もハゲ山になる危機なのだ。

それは増えすぎてしまった鹿による生態系の乱れが起きているから。奈良公園のキャパシティだと、生息できる鹿の数はせいぜい100頭ぐらいらしい。それが今では1500頭ぐらいいるそうだ。完全なるキャパオーバーを起こしているので、鹿たちは食うものが無くて空腹でヤバい。街に繰り出してゴミ箱を漁ったりする個体もいたり、奈良公園の裏にある春日山原始林へ入っていく群もいる。

この山がブナの木の森なのだが、空腹の鹿が入り込むことでドングリを食べ尽くされてしまう。ドングリを食べ尽くされてしまうということは次世代の木が育たない。もちろん鹿はドングリだけではなくて、口が届く場所にある食べられる植物は全部食べてしまう。なので、草花が消えてしまう。ドングリや草花が無くなってしまうので蝶などの虫やリスなどの小動物が姿を消していく。

つまり、多様性が失われてしまうのだ。

鹿を食べる狼もいないし、奈良公園の鹿は神様の使いなので人間は手出しができない。

鹿の数が増えれば増えるほど、鹿の生活環境は劣悪化していき、他の生物も生きていけなくなる。

これは磯焼けにとても似ていると思った。

 

ただ、似ているのは磯焼けだけではない。

 

人間も同じだ。狩猟採集生活の時は広大な縄張りで暮らし、労働時間も短く、疫病も無く、腹も満たされて生きていた。それが1万年ぐらい前から始まった農耕牧畜生活になると、縄張りは家という非常に狭い土地になり、労働時間は長くなり、疫病に悩まされ、飢饉に苦しみ、土地や食糧を外敵から守るようになった。その代わりに人口は死ぬほど増えた。人口が増えすぎたので、その人数分の食糧を確保するためにまた労働時間を増やして、、、、というスパイラルになった。当然、人が増えれば増えるほどに、一人一人の環境は劣悪になっていった。さらには人間以外の家畜を除く生物にとっても劣悪な環境で生きることになった。絶滅する種もたくさん出てくるぐらいに、人間が増えることで最悪な状況に追い込まれていった。

これは今もずーーーーーーーっと続いている。

 

企業でも同じ。規模を大きくして、社員数が増えれば一人一人の環境はどんどん劣悪になっていく。まぁ、そこに度合いの違いはあるけれども。当然、1社が強くなれば多様性はどんどん失われていく。黎明期にはどんどん新規参入があるが、成長期が過ぎて仕舞えばそれも無くなる。当たり前だが。ただ、会社の売上は規模を増すことに膨れ上がっていく。

 

ウーバーイーツの配達員なんかも同じようなものだろう。最初は稼げたけど、配達員の数が増えれば増えるほどに環境は劣悪化していく。ただ、ウーバーイーツ自体の売上は伸びていく。

 

数が増えれば増えるほどに確かに何かは良いことがあるようだが、それは実は個の幸福に結びついておらず、全体最適化もされることがない。

人間で上手くやっているな〜と思うのは、常に奴隷層を生み出し続けていること。

企業が廃れてしまうのはブクブクに太った企業には革新的な商品サービスが生み出せなくなって、イノベーションを起こす企業に取って代わられてしまうからだ。磯焼けのウニも奈良公園の鹿も自らが増えすぎたせいで結局は食うものが無くなってしまうので、どこかで数は減っていくだろう。

 

人間は上手いことやっている。盛衰の波を立たせない。水と油の関係を守り続けている。数が増えた苦しむ奴隷層とそうじゃない層とでハッキリと分かれていて、支配者層だけにならないように上手くコントロールしている。本当にこれは凄い。

 

数が増えることとトレードオフで私たちは失っているものがあるんだけれども、それに気づける人は本当に極小数だな〜と思ったコロナ茶番劇。

 

磯焼けした海に蔓延るウニみたいに、トンカチで割られていっても気づきやしない。

なんともおめでたい世の中だわ。