ファクト認識の能力を高める-相対的な知覚
活躍できる人材とは、幅広い基礎知識を持って、高い知性(知覚と思考)によって、ビジョンを定め、そのビジョンを実現できる人だろう。
ビジョンを実現するには、正確な現状把握と課題発見、課題解決の能力が高くなくてはならない。
正確な現状把握、つまりはファクト認識の力だ。
大前提として、この世の中には数値化や言語化、目に見える形にできないものが大半だということ。
これを重々に念頭に置いておかないといけない。
それを念頭に置いた上で、数値化できるものや言語化できるもの、目や耳や鼻や舌や触角で知覚できるものをどうインプットするかがファクト認識の基本になる。
絶対音感という言葉があるが、どうやら人間を含む動物は生まれた時は皆んなが絶対音感だそうだ。
動物は絶対音感が失われることがないが、人間は言語の獲得によって、絶対音感を失っていってしまう。
後に残るのは相対的に判断する相対音感だ。
ある音を聴いた後に違う音を聴けば、その音が最初の音に比べて高いか低いかを判断できる能力が相対音感だ。
音以外でも人間はほとんどの事象を相対的に知覚している。
大きい小さい。高い低い。強い弱い。速い遅い。
これは便利でもあるのだが、正確なファクト認識を阻害するものでもある。
相対感覚があるが故に数値化や言語化をサボってしまうのだ。
「高いビル」と言った時に、おそらく東京の人と奈良県の天川村辺りの秘境に住む人ではイメージするビルが違ってくるだろう。
「30mの高さのビル」と言えば、同じ高さのビルで話ができる。30mの高さが高いと感じるのか低いと感じるのかはその人それぞれの相対的な感覚に委ねられている。なので「高いビル」はある人にとってはファクトであるが、ある人にとってはファクトで無くなってしまう。
しかし、30mの高さのビルは誰にとってもそれがファクトになる。(高さが間違えてなければ)
正確な現状把握をする際にまず気をつけなければならないことがこの相対的な知覚なのだ。
イメージで語るのではなく、まずは数値化や言語化して誰にとっても同じもので認識できるようにしなければいけない。