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美味しさのデザイン #美食学のすゝめ

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家庭料理の美味しさには偶々があってもいいが、

料理人の美味しさは必然でなくてはいけない。

 

料理人は自分が表現したい美味しさを狙って料理をしている。

それはつまり「美味しさのデザイン」だと思う。

なので、一流の食べ手・美食家はその狙いを、どうデザインされた料理なのかを理解しなければいけない。

 

デザインとは、設計のこと。機能美であり、造形美でもある。

素晴らしいデザインは無駄がないのにも関わらず、遊び心がある。ルールの中で最大限に幅を持たせていて、最も合理的。そんなものが素晴らしいデザインだと私は思う。

 

料理を食べて「美味い!」と感じる。では、なぜその料理は美味いのか?なにが美味いと感じさせるのか?それが完璧にデザインされていればいるほど、その料理では1番美味いのだ。

 

味。香り。温度。見た目。音。

五感をフル活用されていれば素晴らしい。

ただ、特に重要なのは味と香りと温度だ。

 

味には五味がある。

甘味。酸味。塩味。苦味。旨味。

この五味のバランスがとても大事とされる。

 

さらに香りが加わることで三次元的に味の座標が定まるようになる。

例えば、甘いか甘くないか。旨味が濃いか薄いか。といった二次元的な味の見方から、約40万種類もあるといわれる香りが加わることで、三次元的に味を感じる事ができる。

味覚には五味の五種類しかないので、私たちが食べ物の味を思いだした時に感じているものは、実はほとんどが香りなのだ。

なので、味と香りのバランスがこれまた大事なる。

究極をいうと、美味しさの最後の決定打は香りと言っても過言ではないぐらいに香りは大切な美味しさの要素。

 

そして、温度。

どんな食材や料理、飲み物でも、一番美味しい温度が存在する。

よく「熱いものは熱いうちに、冷たいものは冷たいうちに食べなさい」と言われるが、これは本当にその通りなのだ。

料理人が作った料理が食べ手の目の前に出された瞬間が1番美味しい状態。だから、その後時間が経つにつれて美味しさは失われていく。例え1秒でも。

3つ星レストランのHAJIMEでは、0.1度までこだわる程に温度はとてつもなく重要。

そして、料理人はどうすれば1番美味しい温度でお客様が食べ続けられるかを考えデザインしていたりもする。そういった技を理解できた時には美食家は唸るだろう。

 

味、香り、温度で美味しさがデザインされていると、盛り付けも自然と決まってくる。

逆を言えば、盛り付けにその3つのデザインが表れている。

だから、盛り付けられた料理を見るだけで味がわかる(らしい。なんなら、写真を見るだけで誰が作ったかわかるそうで、料理に料理人の名前が書いてあるそうだw)。

 

ただ、ここでも一流の美食家や一流の料理人が唸る時がある。

盛り付けで理解・想像した味を、実際に食べた時に超えてきていた時に「凄い!」と唸るわけだ。

この域に達すると食べるのが楽しくて仕方がないだろう。

 

あとは音だが、これは咀嚼音や調理音が食欲を駆り立てるので、美味しさのスパイスになるといったものだ。サクサクのパイにナイフを入れた時のパリパリっといった音とか最高に食欲を駆り立てられる。焼肉を焼いている音を聞けば腹も減ってくるのが悲しくも嬉しい人間の性なのだ。(なんなら美味しい料理の音を想像するだけでも腹減ってくる)

 

こういったものたちで美味しさはデザインされている。

どんな風にデザインされた料理なのかを理解できれば、美味しさをより深く細かく楽しめる。