高い知性(知覚と思考)を身に着けるために、幅広い基礎知識を身につけようと前回書いた。
ただ、知性を磨く目的で知識を身に着けるにあたって、必要な体験がある。
それが「失敗」だ。
わざわざ失敗する必要はないのだが、まぁ失敗もするでしょってぐらいの意味でとらえてほしい。
例えば、10本の人参を並べられて、食べずにどの人参が美味しいかを当てなさいと言われて、なんの知識もなしにいきなり全問正解できる人がいるだろうか?
まず間違いなく失敗する。
でも、とにかく真剣に食べずに美味しい人参を当てにいってみる。
それを「当たりをつける」とか「仮説を立てる」、「ポジションをとる」というのだが、自分のなんとなくの感覚でもいいから選んでみる。
それで答え合わせをしてみる。
正解と不正解を知ったうえでもう一度比べてみる。
美味しさを判別する要素はどこにあるのか?
色か?重さか?硬さか?香りか?叩いてみたときの音か?
仮説と失敗、成功を繰り返すことで知覚と思考が同時に磨かれていく。
知覚とはインプット能力のことだ。
様々な角度から観察することで今まで認識できていなかったものが認識できるようになる。
初見の人には分からない人参の違いが知覚を磨くことで分かるようになる。
思考とはアウトプット能力のことだ。
今回のテストであれば、認識した人参の差と美味しさを結びつける頭の中での作業。
より色が濃いから美味しいのではないか?
より重いから美味しいのではないか?
より香りが強いから美味しいのではないか?
そうやって当たりをつけて、自分のポジションをとる意見、考えを出す。
まずは盛大に失敗をして、恥もかいて、なぜ間違えていたのかを考えることで、思考は磨かれていく。
答えだけをインプットしても、知覚は磨かれないし、思考も鍛えられない。
高い知性を身に着けようと思えば、まぁ失敗もするでしょってことなのだ。
なぜなら答えを知らずに、答えを知ろうとして、自ら体験をしようとするからだ。