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前提条件が違うとチームはワークしないよねって話

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とあるチームのワークショップの企画会議。
発起人と私を含めて5人のメンバーが参加していた。

そのチームのメンバー同士がもっと相互作用しあって、お互いを高め合い、もっと大きな成果をあげられるチームになるというのが大目標。

今回のワークショップはそのファーストステップ的な位置付けで、発起人の目的は2つあった。

お互いをよく知る事。
お互いに遠慮せず意見し合える事。

この2つが出来る状態に少しでも近づけるためのものだ。

10数名のチームメンバーが半日ほど語り合う場を作るというものだったが、「どうやって進めていくか」や「どんなゴールを目指すか」といった共通認識が企画会議メンバーの中で腹落ちがしなかった。

チームリーダーでもある発起人の考えがよくわからないから、このままでは失敗に終わってしまうという意見があるメンバーからあがっていたからだ。

そのメンバー(仮にAさんとする)は、もっと綿密な計画を練って、そのワークショップがどう働いていくかのハンドリングもシッカリと考えた上で決行しないとダメだと考えていた。
なぜならチームメンバーが参加しても、きっと自分の意見を言わずにダンマリしてしまうと考えているからだった。
実際にそのチームでは議論が活発になるケースが少なく、メンバーが沈黙してしまうことが多い。
リーダーが話し過ぎてしまうからでもあり、誰も話さないからリーダーが話すといった悪循環に陥っていた。

ただ、発起人としてはガチガチにルールを決めたり、成功の型を決めてやるよりも、その場の生物として動いていくものに任せていきたいという想いがあった。
更に言えば、現場でどう転んでもある程度はアドリブでコントロールできる自信があったとも思う。
発起人は営業職として成果も上げてきた人物なので、それができる実力も十分に持っていた。

なので、この2人の意見は交わることがなかった。

必死に綿密な計画の必要性を訴えるAさんと、それがあまり理解できないリーダー。
この議論を聞いていた私に、Aさんが「上手く説明してほしいと」助けを求めてきた。

 


ここで私が考えていたことはそもそもの前提条件が全然違うなということだった。

まず発起人のリーダーが今回のワークショップをやろうと思うまでにインプットしてきた情報と、思考してきたものを完璧に共有することは不可能だ。

リーダーは当然チームメンバー全員と関わり、1on1などで仕事に対するモチベーションや課題感やさまざまな情報を持っている。
一方で企画会議に参加しているメンバーはそうではない。
ここで情報の非対称が生じている。

他にもマネジメント論や組織論、ワークショップに関する経験や知識が全然違っている。
当然、それが違ってくると認識している世界が変わってくるので、何を良いと感じて悪いと感じるのかも大きく異なってくる。
ここでも前提条件がかなり違っていて、意見が合わなくなる。

加えて、恐らくだがこんなスレ違いも起きていると感じた。
Aさんは何かをする時に「ゴールがある」というのが自分のなかでの当たり前としてある。
自分の中では当たり前としてあることなので、特に意識もしていない。
だから、他人にも当然に「ゴールがある」と思っている。だけど、リーダーには今回のワークショップのゴール設定のガッチリしたものはない。
だから、それを伝えることもできないのだが、Aさんはリーダーもゴールがあると考えているので、それを伝えてこないリーダーは狙いを隠していると全部言ってこないと感じてしまっている。
ここでも前提条件が違ってしまっている。

 


情報の非対称。
基礎知識や経験値から得ている知見。
根本的な物事の考え方。
こういった前提となる条件が全然違うので、どうやってワークショップをやるのかが上手くまとまらない。

すべてを短期間ですり合わせて、統一するのは難しいが、ある程度の共通認識を持てるようにしようという提案を私がして、今回はそれでと落ち着いた。

だけど、やはり前提条件というのはチームで揃えられていた方がスムーズに事が進むし、お互いが相互作用しあって大きな成果を上げることにも役立つに違いない。

前提条件を揃えていくには、普段からのコミュニケーションであったり、意見の交換や同じ学習をすることだったり、そういったことの積み重ねで得られてくるものだろう。

とあるミシュラン3つ星レストランでは、「美味しい」の共通認識を作るために、全員で同じものを食べて、どう感じたかをすり合わせていくワークを常にしていると聞いた。

人それぞれ「美味しい」は違うので、どう美味しいかを言語化して、同じ「美味しい」を作り上げていくのだ。

そうすることで1つの皿の料理が味のブレなく作り上げられていく。
それが3つ星たる所以のひとつだと私は感じた。

 


ビジネスチームや、地域コミュニティや、自助グループなど、どんな組織でも同じことだろう。

一朝一夕ではできない。
だからこそ面白いのがチームビルディングなんだろうなと思えた日だった。