「フランス料理しか食わない人」を探し求めるフランス料理屋
私たちは消費者からモノやサービスを売る側に回った途端に、180度物事の見方が変わってしまう。
それは提供者側にとっては非常に悪い方向に働く変化であって、できればそういったことは起こらない方がいい。
だけど、そうなってしまうのが常。
そのことを知っているだけでも多少なりとも変化を少なくすることができる。
「フランス料理しか食わない人」を探し求めるフランス料理屋を例にして書いてみよう。
もし自分がフランス料理屋の経営者になった場合、どんな人がフランス料理を食べているのかを調査したりするだろう。
フランス料理屋でも、どんな価格のものでどういった内容のものが選ばれているのか。
どんな内装や外観のフランス料理屋が選ばれているのか。
そういったことを色々と調べて参考にするはずだ。
そして、素晴らしいフランス料理屋を作り上げていく。
それはたしかに必要なことだとも思う。
だけど、この世にフランス料理しか食べない人がいるだろうか?
日本料理も食べれば、鮨も食べるし、イタリア料理やスペイン料理やトルコ料理やタイ料理や中国料理などなど、まぁ色んなジャンルの料理を食べるはずだ。
特によく外食に出かける人ほど色んな料理を食べている。
しょっちゅう外食に行くのに、フランス料理しか食べない人なんて1万人に1人も存在していないかもしれない。
そんなことは自分が消費者側の立場に立ってみればすぐに分かることだ。
直近1週間で食ったものを思い出すだけでいい。
こんな簡単なことを提供者側に立つとわからなくなってしまう。
これは別にフランス料理だけではなくて、すべての商売に通ずることだ。
人間は1つのブランドなどに執着して、それだけを買い続けるなんてことは稀であって、そのカテゴリーの商品サービスを良く買う人ほど色んなものを購入しているのだ。
だから、フランス料理の話に戻ると、まるでフランス料理しか食べないような架空の人を想定しても意味がないのだ。
他のフランス料理屋を競合だと考えても無意味なのだ。
消費者目線で考える。
まずはそこなんだろうな。